技能実習生の法的保護講習とは

ビザ情報

技能実習生として日本で技術を学び、働く上で、ご自身の権利を守り、安心して実習に専念するためには、日本の法律や制度について正しく理解することが不可欠です。そのために実施されるのが「法的保護講習」です。

この講習は、技能実習生が不当な扱いを受けたり、トラブルに巻き込まれたりすることなく、技能実習制度の目的である技術・技能の習得に集中できるよう、必要な法的知識を提供することを目的としています。

法的保護講習の主な内容

法的保護講習では、主に以下の内容について学びます。

  • 技能実習法令について: 技能実習制度の基本的なルールや、技能実習生の権利・義務などが定められた「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)」について解説します。
  • 出入国管理及び難民認定法(入管法)について: 在留資格、在留期間、再入国許可、資格外活動など、日本に滞在するためのルールについて学びます。
  • 労働関係法令について: 労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法など、働く上での権利や安全、賃金、労働時間、休日、休暇などに関する重要な法律について学びます。
    • 賃金未払いの場合の立替払制度や、仕事中の怪我などに対する休業補償制度についても説明があります。
    • 労働契約に関する知識も含まれます。
  • 技能実習生の保護に関する情報:
    • 実習実施者(受け入れ企業)や監理団体が法律に違反する行為を行った場合に、どこへ相談・通報できるか(例:外国人技能実習機構の母国語相談窓口、労働基準監督署など)。
    • 不利益な取り扱い(例:通報を理由とした解雇など)の禁止について。
    • やむを得ない理由で実習先を変更(転籍)する必要が生じた場合の対応方法。
  • その他: 厚生年金の脱退一時金制度など、技能実習生活に関連する情報。

誰が、いつ、どのように実施する?

  • 実施責任者: 技能実習生を受け入れる監理団体が、法的保護講習を実施する責任を負います。
  • 講師: 講習は、入管法、労働法、技能実習法などの専門的な知識を持つ者(行政書士や社会保険労務士など)が担当します。
  • 実施時期: 原則として、技能実習生が日本に入国した後、実習実施者(受け入れ企業)との雇用契約に基づき実務研修を開始する前に行われます。「入国後講習」の一環として実施され、通常、入国後1ヶ月目(企業単独型の場合は入国後2ヶ月以内、団体監理型の場合は入国後1ヶ月以内)に、合計8時間以上行われることが義務付けられています。
  • 実施方法: 講義形式で行われ、通訳を介して母国語で理解できるように配慮されます。テキスト(技能実習生手帳など)も用いられます。オンラインでの実施も認められています。

技能実習生の権利と義務

法的保護講習を受けることは、技能実習生にとって重要な権利です。この講習を通じて、自身の権利や、困ったときの相談先を知ることができます。

  • 権利:
    • 法的保護講習を受ける権利。
    • 講習内容について質問し、理解する権利。
    • 法律で定められた保護を受ける権利。
    • 法令違反の事実を知った場合、外国人技能実習機構や厚生労働大臣、出入国在留管理庁長官に申告する権利があり、申告したことを理由に不利益な扱いを受けません。
  • 義務:
    • 講習で得た知識を理解し、日本の法律やルールを遵守するよう努めること。
    • 技能実習に専念し、技術・技能等の修得に努めること。

サポート体制

法的保護講習以外にも、技能実習生をサポートするための様々な体制があります。

  • 外国人技能実習機構(OTIT): 技能実習制度全体の管理運営を行う機関であり、技能実習生からの相談を母国語で受け付ける窓口を設けています。電話やメールでの相談が可能です。
  • 監理団体: 技能実習生の日常生活や実習状況をサポートし、相談に対応する役割があります。
  • 実習実施者(受け入れ企業): 技能実習生が安全かつ円滑に実習を行えるよう配慮する責任があります。
  • 労働基準監督署: 労働条件や安全衛生に関する問題について相談できます。

法的保護講習は、日本での技能実習生活を始めるにあたっての第一歩となる重要な機会です。講習内容をしっかりと理解し、万が一の際に自分自身を守るための知識を身につけましょう。不明な点があれば、遠慮なく講師や監理団体に質問することが大切です。

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