2025年4月18日(金)、神奈川中小企業センタービルで開催された「かながわ外国人材活用支援ステーション キックオフセミナー」に参加いたしました。神奈川県知事や主催者である公益財団法人神奈川産業振興センター理事長のあいさつに続き、ステーションの概要説明が行われました。
説明では、多くの中小企業で人材不足が深刻化していること、そして外国人材の受け入れに関する制度が大きく変化している背景が示されました。具体的には、2024年3月に特定技能の対象分野に自動車運送業など4分野が追加され、受け入れ見込み数が拡大したこと。また、2027年度からは技能実習制度が廃止されて「育成就労制度」が創設され、より長期的な人材育成・確保を目指す制度となることなどが挙げられました。さらに、アジア各国における国際的な人材獲得競争や、国内の他の自治体との競争も激化しており、日本は待っているだけでは選ばれない状況になりつつあると強調されました。こうした状況を踏まえ、中小企業が抱える「接点が少ない」「手続きが複雑」「日本語能力に不安」「コストが高い」といった課題に対応するため、ステーションではワンストップでの支援を提供することが説明されました。具体的なサポートには、専門家による相談・助言、企業と人材を繋ぐマッチング会の開催(海外での説明会含む)、インターンシップ受け入れ費用の奨励金(1人につき20万円)、そして高度外国人材の受け入れにかかる初期費用を補助する制度(補助率1/3、上限50万円)が新設されることなどが含まれるとのことです。
基調講演では、一般社団法人EDAS理事長の田村拓氏が登壇し、「海外人材とともに目指す事業の成長」をテーマに、海外人材が単なる労働力補完ではなく、事業成長の推進力となりうる可能性について語られました。採用後の定着・活躍支援の重要性が特に強調され、異文化理解(Uカーブ理論など)の促進や、円滑なコミュニケーションのための「やさしい日本語」の使用、個別面談(One-on-One)の実施、そして受け入れ側の日本人社員も歩み寄ることの重要性が挙げられました。また、外国人材を国籍でひとまとめにするのではなく、一人ひとりを「個人」として尊重する視点の大切さも示唆されました。
続いて、ベトナム(株式会社アイデム 水口氏)、インド(株式会社サンウェル 渡辺氏)、モンゴル(モンゴル科学技術大学附属高専 茶山氏)、バングラデシュ(株式会社ジャパンバングラブリッジ タハミド氏)から、各国の人材についての情報提供がありました。ベトナムのインターンシップ事例、インドの優秀なエンジニア層や日本語習得の速さ、モンゴルの高専教育と技術者としての素養、日本語との言語的な親和性、バングラデシュの親日性、勤勉さ、そしてイスラム教の慣習への配慮点など、それぞれの国の特徴が紹介されました。
会場には多くの聴講者が詰め掛けており、外国人材の活用に関する企業の関心の高さを実感することができました。