「特定技能移行準備の特定活動」は、現在日本に滞在している外国人が、在留期間満了までに「特定技能1号」への在留資格変更が間に合わない場合に、その準備期間を確保するための特例措置として設けられている在留資格です。この期間中、特定技能の受入れ予定機関で就労しながら移行準備を行うことができます。
目的と対象者
- 目的: 技能実習生や留学生などが、現在の在留資格の期間満了までに、特定技能1号の要件(技能試験、日本語試験の合格など)を満たし、特定技能の雇用契約を締結するなどの準備が間に合わない場合に、日本に滞在しながら特定技能への移行準備を進めることを可能にするものです。
- 対象者: 主に在留資格「技能実習」または「留学」を保有する外国人で、特定技能1号への移行を希望しており、現在の在留期間満了日までに「特定技能1号」への在留資格変更許可申請を行うことが困難である合理的な理由があり、かつ特定技能の受入れ予定機関で就労することを予定している者。
在留期間と更新
- 在留期間は「6か月」です。
- この6か月の期間は、やむを得ない事情があると認められる場合に限り、1回のみ更新が可能です(合計で最長12か月)。
- 法務省のQ&Aによれば、「やむを得ない事情」とは、例えば「申請人に帰責性のない理由により、前の受入れ機関で就労を継続することができなくなり、受入れ機関を変更することを希望する場合」などが該当し得ます。その他、新型コロナウイルス感染症の影響で試験が中止・延期になった場合なども引き続き考慮される可能性がありますが、個別の状況によります。
- この特定活動で在留した期間は、特定技能1号の通算在留期間(上限5年)に含まれます。
就労について
- 特定活動(特定技能1号への移行準備)の期間中は、就労が可能です。
- 原則として、就労を予定している特定技能の分野・職種で、特定技能外国人と同じ条件で就労することが求められます。
- 上記「やむを得ない事情」に該当するような場合を除き、原則としてこの特定活動期間中の安易な転職は想定されていません。
主な申請要件
特定活動(特定技能1号への移行準備)への変更許可申請を行うには、主に以下の要件を満たす必要があります。
- 現在の在留期間の満了日までに「特定技能1号」への在留資格変更許可申請を行うことが困難である合理的な理由があること。
- 受入れ機関において特定技能外国人として在留資格「特定技能1号」に該当する業務に従事するために、同在留資格への在留資格変更許可申請を予定していること。
- 申請人が特定技能外国人として業務に従事するために必要な技能試験及び日本語試験に合格していること(技能実習2号良好修了者等として試験免除となる場合も含む)。
- 申請に係る受入れ機関または支援委託予定先が、申請人の在留中の日常生活等に係る支援を適切に行うことが見込まれること。
- 申請に係る受入れ機関が、申請人を適正に受け入れることが見込まれること。
申請に必要な書類(主なもの)
- 在留資格変更許可申請書(顔写真貼付)
- 受入れ機関が作成した説明書(移行準備が困難な理由、やむを得ない事情などを記載)
- 雇用契約書および雇用条件書などの写し(日本語のものと、外国人が契約内容を理解できる言語で記載されたもの)
- 特定技能外国人として業務に従事するために必要な技能試験および日本語試験に合格していること、または技能実習2号を良好に修了していることなどを証明する資料(合格証明書の写し、技能実習評価調書など)
- パスポートと在留カード(提示)
申請の流れ
- 事前準備: 必要書類の収集と準備、受入れ機関との契約内容の確認、現在の在留期限までの期間を確認します。
- 申請提出: 管轄の出入国在留管理局へ申請書を提出します。
- 審査期間: 審査には通常時間がかかります。追加資料の提出を求められる場合もあります。
- 許可後の手続き: 許可された場合、新しい在留カードを受け取ります。
注意点
- 審査には時間がかかるため、在留期間の満了日までに余裕を持って申請を行うことが重要です。
- 特定活動ビザは、あくまで「特定技能」への移行準備のための特例措置であり、特定技能の要件を最終的に満たす必要があります。
- 更新の可否や「やむを得ない事情」の具体的な判断は、個別の状況に応じて出入国在留管理庁が行います。
- 在留資格や申請手続きは変更される可能性もありますので、最新の情報は出入国在留管理庁のウェブサイトや専門家(行政書士など)に確認することをお勧めします。
ご不明な点があれば、具体的な状況に応じて行政書士などの専門家にご相談されることを強くお勧めします。