外食業特定技能:旅館・ホテル内のレストラン等での就労が可能に

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今回は、外食業分野における特定技能外国人の受入れに関する重要な改正について、より分かりやすくご説明します。この改正は、特に旅館やホテルを経営されている事業者様にとって、
人手不足解消に向けた新たな選択肢となる可能性があります。

1.これまでなぜ難しかったのか?

特定技能制度では、外国人は原則として、風俗営業を行う場所で働くことができませんでした。外食業分野も同様です。
しかし、一部の旅館やホテルでは、宿泊施設としての許可(旅館業法)に加えて、例えば宴会場で接待を伴うサービスを提供するために、風俗営業の許可も取得している場合があります。このような施設は、たとえ外国人の方が担当する業務が調理や配膳、清掃といった外食業本来のものであっても、「風俗営業を行う場所」に含まれてしまうため、これまでは外食業の特定技能外国人として働くことが認められていませんでした。
これは、旅館やホテルで働く外国人は、調理や清掃など、宿泊業と外食業にまたがる業務を兼務することが多いため、特に人手不足が深刻な宿泊・外食業界では、人材確保の大きな妨げとなっていました。

2.今回の改正で何が変わった?

このような現場の状況を踏まえ、外食業分野の特定技能制度のルールが見直されました。
今回の改正により、旅館やホテルの中で、旅館業の許可に加えて風俗営業の許可も受けている場所であっても、特定の条件を満たせば、外食業分野の特定技能外国人が働くことが例外的に認められることになりました。具体的には、特定技能外国人が働くことができない「風俗営業を営む営業所」から、旅館業法上の旅館・ホテル営業許可を受けた施設内のうち、風俗営業法上の許可も得て営業している特定の場所が除外された形です。
これにより、例えば旅館の宴会場のように風俗営業の許可がある場所でも、特定技能外国人が調理や配膳などの外食業の業務に従事することが可能となります。

3.いつから始まったの?

この改正は、関連する農林水産省告示の一部を改正する形で行われました。令和7年5月30日に公布され、同日(公布日)からすでに施行されています。

4.ただし、最も重要な注意点

今回の改正で働く場所の制限が一部緩和されましたが、特定技能外国人に「接待」行為を行わせてはならないというルールは、引き続き厳格に守る必要があります。
特定技能外国人を受け入れる事業者様(受入れ機関)は、特定技能外国人に接待をさせないことを確実に行うための具体的な対策を講じる義務があります。例えば、自社の日本人従業員が接待を担当することを明確にしたマニュアルを作成したり、特定技能外国人からの相談にいつでも応じられる窓口を設けたりするなどの対応が必要です。
農林水産省も、関係省庁や業界団体と協力して、この「接待をさせない」という義務がきちんと守られるよう、事業者様への指導や助言を行う方針です。

5.まとめ

今回の改正は、人手不足に悩む旅館・ホテル業界にとって、外食業分野の特定技能外国人という新たな人材活用の道を開くものです。令和7年5月30日から施行されていますので、対象となる事業者様は、特定技能外国人の受入れを具体的に検討できる状況となりました。
しかし、外国人に「接待」をさせないという最も重要なルールを守るための準備は不可欠です。
特定技能制度は専門的な知識や手続きが必要です。今回の改正内容や、外国人受入れに関する具体的な準備についてご不明な点がございましたら、当事務所にお気軽にご相談ください。
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